頭の中でいっぱいになっている泡に、名前を与える

本の紹介

さみしい夜にはペンを持て
著者 古賀史健
出版社 ポプラ社

こんな人にオススメ

  • 頭の中がずっと悩みでモヤモヤしているひと
  • 日記を書きたいけど上手くいかないひと
  • 自分の思っていることをもっと上手く表現したいと思っているひと

本のご紹介

ずっとわけもなく心が焦っている。

「なにが?」と問われると「ぜんぶ」と答えたくなる。

もうとにかく全部だ。

仕事のこととか、家族のこととか、将来のこととか

やらなくちゃいけないこと「ぜんぶ」。

ちなみに店主はこの現象が金曜日の晩に起きやすい。

平日に溜まったモヤモヤが一気に圧しよせてきた感じ。

これを休日の内に片付けないと来週乗り切れないのに

モヤモヤが重すぎて、動けない。

そしてスマホを開いてゲームをしたり、ネットを見たりして、時間が過ぎていく……

 

この本では文字通り、「そんな時こそペンを持て」と言っている。

決してスマホではない。

色々悩んでいるとき、人は頭の中が言葉にならない思考でにごってしまっている。

本の中では「コトバミマン」と言われる泡で表現されている。

自分の思いを書いたり、文章にするなど可視化することによって

その泡がかたちを持った「考え」になり、頭のにごりが少しクリアになる。

すると何か解決したわけではないのに、少しだけ気持ちが楽になっている不思議。

何より紙に書くことが大事。

「2桁×2桁×2桁のかけ算だって、暗算では難しいけど

紙の上で書いていけば解けるでしょ?」と言われて

確かに!と目からウロコが落ちるようだった。

大体、お風呂の湯舟の中でずっとモヤモヤしていた。

なんだったらモヤモヤはどんどん大きくなっていった。

頭の中で考えているだけでは、解決は難しいのだ。

確かに紙に悩みを書き出してみると

感情と物事をわけて考えられるようになる。

あと、「ぜんぶ」だった悩みが具体的に数が数えられるようになる。

人生のすべてが悩みだったが、今一番自分を困らせている悩みがどれかということが分かる。

悩みが分かると、今自分にできる解決策が何かが分かる。

分からないときもあるが、少なくとも頭の中だけで考えていた時よりはすっきりしている。

 

どうせ何も変わらないからと、うやむやのままにしている悩み事。

答えをださない内は可能性が残るから、つい答えを先送りにしてしまう。

しかし、可能性のなかに生きている限り、物事を真剣に考えなくなる。

放っておけば放っておくほど「コトバミマン」の泡でどんどん頭の中は濁っていく。 

答えは見つけるのではなく、出すしかない。

自分にとっての答えは、自分でしか見つけられないのだから。

 

表紙も中身も海の中にもぐったかのようなきれいな装丁。

もやもやした海の中にもぐってみるような気持ちで、本を開いてみて欲しい。

そこには悩みだけではなくて、きれいな景色もきっとある。

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