眠れぬ夜はケーキを焼いて 著者 午後 出版社 KADOKAWA
こんな人にオススメ
- 夜、孤独感におそわれた人
- 規則的な生活ができない自分に嫌気がさしてしまった人
- 手軽に作れる焼き菓子を知りたい日人
本のご紹介
生活サイクルが狂いやすく、真夜中に起きる日もある作者。
何もできないまま一日が過ぎてしまった不甲斐なさを打ち消すように
ちょっと元気がある日は焼き菓子を焼き始める。
この本で紹介されるお菓子は
普段お菓子を作らない私でもできそうな手順とシンプルな材料が多い。
料理手順のちょっとしたコツだけでなく
出した調理器具や余った材料を片付けるタイミングも教えてくれる。
量りを仕舞うコマは、必ずといっていいほど描かれている。
第一話ではパウンドケーキが作られている。
私はさっくりとした歯ごたえのあるクッキー系が好きなので
しっとり系のパウンドケーキは買わないのだが
型にいれて焼き上がった丸々一本のパウンドケーキは見ているだけで多幸感に包まれる。
パウンドケーキにいれる具材は、ナッツ、チョコ、ドライフルーツとどれも美味しそうだが
作者の教えてくれたドレンチェリーで作ると豪華さと特別感が一気に増す。
淡々とお菓子作りに熱中していたらざわつく心も穏やかになっていく。
しかも、最終的に美味しいお菓子も完成するわけだから一石二鳥。
ダイエットには向かないかもしれない。
でも、いつも頑張っている自分へのご褒美は必要なはず。
第八話の真夜中にファミレスに行く話も個人的に好きなページだ。
帰宅するのが遅くなった日にファミレスに寄り
ポテトとミニパルフェ、ドリンクバーを注文する作者。
店内には、読書をする人、がっつりお肉を食べる人、勉強をする人がいる。
こんな時間でも
ポツポツと
席は埋まっていて
まるで深夜の
同じ列車に
乗り合わせた
仲間のよう
そこに孤独感はあるのに、逆にそこにしかないある種の居心地の良さも感じる。
そこにある空気感を愛おしく思う。
眠れない夜、この暗い世界の中で一人取り残されたかのような錯覚におちいる。
でも、自分が眠れない時間にも活動している人がいる。
同じように眠れなくてお菓子を焼いている人もいる。
そう思うと、少しだけ孤独感がやわらぐ気がする。
この本のそっと寄り添って励ましてくれるような作者の語り口とお菓子が
眠れない夜に優しくマッチする。
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